英語(に限らず全ての言語)の学習において決して避けて通ることができないのが、単語の暗記です。
近年、日本の英語教育界では四技能(Reading・Listening・Writing・Speaking)のベストミックスの必要性が盛んに喧伝されておりますが、この「ヨンギノー」云々の話は、あくまで単語学習を十分過ぎる位やったことを前提でなされるべきものだと私は強く思っています。
英単語の学習を疎かにしている限り、たとえばスピーキングの勉強をどれだけやったとしても、英語力の飛躍的向上は絶対に望めません。
よくCMなどで「中学英単語だけでペラペラになります!」などという謳い文句で生徒を募集している英会話学校を見かけますが、あれはウソです。
普通に考えて「リンゴ」とか「お父さん」とかの単語だけで日本語を喋れと言われたら無理ですよね。
日本語でできないことは、当然英語でもできません。
薄っぺらいという意味での「ペラペラになります」というならまだ理解はできますがね・・・笑
冗談はさておき、語学における語彙力というものはその位大事なものなのです。
英語の長文を読む際、文章中に知らない単語が1%以上あると読むスピードがガクッと落ち、これが5%以上になると、その長文の意味がほぼ分からなくなると言われています。
文法問題は得意なのに長文読解が苦手な人は、語彙力の不足が原因の可能性が強く疑われます。
もしあなたが今高校三年生で、志望大学の過去問に自分の知らない単語が沢山出てくるようであれば、一旦通常の受験勉強を中断し、1~2週間程度単語の暗記に専念すべきでしょう。
語彙力を最も手っ取り早く高めるツールは、何といっても英単語帳です。
長文の中で知らない単語を覚えていくというやり方もありますが、基本的な単語ですら危ういと自分で思う人は、やはり一旦単語帳に立ち返るべきでしょう。
ところが、いざ単語帳を買おう!と意気込んで書店の参考書コーナーに行くと、本棚には無数の英単語帳が並んでおり、どれを買えば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか?
結論から申し上げると、誰にでもフィットするオールマイティーな単語帳は存在しません。
有名なYouTuberがお勧めしているから、とか、周りの賢い友達がみんな使っているからという安易な理由だけで選んでしまうと、結果的に非常に効率の悪いことになりかねません。
あくまで、自分のレベルと目的にあったものを選ぶべきなのです。
たとえば、センター試験を例にとってみましょう。センター試験で高得点を取るためには、約5,000語の英単語を知っている必要があると一般的に言われています。
下の表は、平成30年度のセンター試験の問題に使われた英単語上位100位と、それらの単語が、中学や高校でよく使われている英単語帳に載っているかを比較分析したものです。
表の右側に書かれている数字は、各単語帳における単語番号になります(空欄は記載なし)
データによると、掲載されていた延べ単語数(重複をカウント)は3,927語、正味単語数(重複なし)は1,043語でした。
上のグラフは、先ほどと同じH30年度のセンター試験における正味単語数と延べ単語数あたりの網羅率の関係を表したものです。
横軸が出現(正味)単語数、縦軸が網羅率になります。
たとえば、正味単語数が650語に達すると網羅率は約90%になりますが、これは、出現頻度が高い650語を知っていれば、延べ単語数約4,000語のうちの90%はカバーできることを意味しています。
逆に言うと、残り10%の単語をカバーする為には、頻出の650語に加えて
1043-650 = 393 ≒ 約400語
余分に覚える必要があるのです。
仮にあなたの目標がセンター試験で75%(150点)を取ることだとして、どの単語帳がコスパが良いのかということですが、当然ながら、掲載単語数ができるだけ少なくかつ上の400語が最も多く載っている単語集ということになります。
単語帳はほぼ無数にありますので全てを解析することは不可能ですが、私が分析に使用した約20冊の中では新ユメタン1やターゲット1400がコスパの観点からは良い結果が出ました。
断っておきますが、別に旺文社から金を貰っているわけではありません(笑)たまたまそういう結果が出ただけです。
受験生の多くに支持されているターゲット1900や単語王2202は、もちろん良い単語帳だと思いますが、(日本人受験生にとっては)難解で抽象的な単語もかなり含まれていますので、センター試験の勉強に限って言えば、ややオーバースペックのような印象を受けます。
センター試験、または中堅以下の私大を目標においている受験生の方は、新ユメタン1やターゲット1400に出ている単語をまず完璧に覚えましょう。
一方で、難関私立大や二次試験の科目に英語がある国公立大を目指す人は、もう一段階レベルの高い単語帳(鉄壁や単語王)なども併用すべきだと思います。
・・・夏休みが終わりました。
アテにしていた夏休み期間中、思ったように勉強が捗らず「もうダメだ」と諦めている高3生の諸君、大丈夫、まだ間に合います。
焦らず、周りに流されず、自分のやるべきことをしっかり見定めて、残り時間を最大限有効に活用してください。
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