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執筆者の写真Avalon

hereとthereのお話


最近、とある塾の先生から



"from here" における "here" とは

いったいナニモノなのか?



というご質問をいただきました。




ご質問いただきありがとうございます🐱




 


そもそも・・・



here, thereはそれぞれ「ここで、ここに」「そこで、そこへ」という意味をもつ副詞です。



それが証拠に come here とか go there とは言いますが、come to hereとかgo to thereとは言いませんね




これは come home や go home の home が「(本来戻るべき自分の)家へ」という意味の副詞であるが故に、come to home とか go to home とは言わないのと同じ理屈です。




here, thereは語源的にも、もともと「副詞」ですので、文構造上副詞と捉えられる場合には、副詞として用いられることが優先されます




ただ、沢山の英文を読んでいると、どう頑張っても名詞としてしか解釈できない場合があります。



今回のご質問のケース"from here"がまさにその場合の典型例と言えると思います。



そこで、この記事ではどのような場合に、here, thereが名詞のように使われるのにかについて、自分の知識の整理整頓も兼ねて、ひも解いていきたいと思います。



Without further ado, let's dive in!



 




  1. 起点・起算点を表す時



hereとthereには、ここ「から」やそこ「から」といった、起点を表す意味はありません。



「ここから、そこから」と言いたいときは便宜的に here/there を名詞に転用し、from(of) here / from there の形を用います。




用 例



You can see the mountains clearly from here.

ここからその山々がはっきり見えます。


From here, it will take about 20 minutes to reach the station.

ここから駅までは約20分かかります。


There is a fire station 2 kilomiters south of here.

ここから2キロ南に行ったところに消防署があります。


From there, you can see the entire coastline.

そこからは海岸線全体が見渡せます。


She moved to another city, and from there, her life changed completely.

彼女は別の街に引っ越し、そこから彼女の人生は完全に変わりました。





 




2. 部屋など内的空間や、特定の地点を強調したい時



「この(部屋の)中は」「壁の向こうで」のように、場所を絞り込んで表現したいときには、 in here や down there のように前置詞「in」「out」「up」「down」などと共に用いられることがあります。


これらの用法で使う時は、通例、here・thereに強勢が置かれます。




用 例



It's so hot in here!

ここ(この中)は暑いね!


It's so cold out here!

(屋外から外に出て)ここは寒いね!


I can't find my keys. They must be in here somewhere.

鍵が見つからないな。(鞄を探りながら)この中のどこかあるはずなんだが。


What's in there? I saw something move behind the curtain.

そこに何かいるの?カーテンの後ろで何かが動くのを見たよ。


I left my notebook in there, could you grab it for me?

ノートをそこに置き忘れたんだけど、取ってきてくれる?


I can see the entire city from up here on the mountain.

ここ、山の上からは、街全体が見渡せます。


What's that shining up there in the sky? Is it a plane?

空のあそこ上で光っているのは何だろう?飛行機かな?


It's much more humid down here by the river compared to the mountains.

ここ、(低地にある)川の近辺では、山間部に比べてずっと湿気が多い。


Look down there at the beach! The waves are so big today.

(下を見下ろしながら)海岸を見て!今日は波がとても大きいね。





 



3. 決まり文句



非ネイティブにとって、一番厄介なヤツです。


ここではスタバでお馴染みの「for here」と、アメリカでいうこところの「お疲れ!」にあたる「out of here」の2つだけ紹介します。


これら2つも、文法上副詞と捉えるのは無理があると思いましたので、ピックアップしました。



用 例



Is this order for here or to go?

この注文はここで食べますか、それともお持ち帰りですか?


I'm out of here

それではお先に!(目上の人には使わないこと)



 


上で挙げたもの以外に、これは副詞なのか?とかんぐりたくなる here/there の使い方を列挙しておきますね。



around here/there

ここ(そこ)らへんに


near here

この近くに


over there

あそこに


"Hey, over here!"

(主に会話で、手などを振りながら)こっち、こっち!





 



おわりに




there は the と共通の語源を持ちます。


そして the はもともとはと言うと、that の弱まったものです。


the(それ)に古英語の副詞語尾である「-r」がついて there (そこ)となりました。


一方 here は「he(かれ)」と語源が共通であり、それに副詞語尾「-r」がついて here (ここ)となりました。


here の原義は「where one puts himself(彼が自分自身を置く場所に)」です。


このように語源を辿ると、hereが近くを、thereが比較的遠くを指す理由が分かってきます。


日本語では「此処、其処、何処」と、場所関連の語には「-処」が共通語尾となっています。


なんとなくhere、there (実は where もですが)の副詞語尾「-r」に通じるところがありますね。




ではではまた!

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